日本都市計画学会中国四国支部設立趣意書
現在、都市計画やまちづくりをめぐる課題や問題が山積しています。時代の動きと共に新たな課題が次々に現れ、一つの課題を解決する間もなく、新たな課題への対応が迫られている場合も少なくありません。
中国四国地域は瀬戸内海を共有し、二つの外海である日本海と太平洋に囲まれ、それぞれの沿岸地域や中山間地域等から構成され、都市地域だけでなく、その近郊やルーラルエリア、島々や山地地域の集落・小集落を内包し、それぞれが広範で複雑な課題を抱え、特色豊かな都市・地域として存続し発展するためには、克服すべき問題も少なくありません。一方、生活者の立場から従来型の都市計画の仕組みや内容に対して、いくつかの基本的な問題が投げかけられております。
今や都市計画で扱う対象領域も「都市」に限ることなく、様々な地域を含んで考えるべきであり、さらに「都市計画」という概念も「まちづくり」といった方向を包含する必要があるといったように、時代に応じて展開していくべく要請されています。
こういった、状況下で日本都市計画学会中国四国支部を設立する意義は大きいと思われます。
日本都市計画学会中国四国支部が設立された場合、この地域に所属する会員が新たな基盤に拠ってネットワークを形成し、相互に情報を交換、共有してさらなる活動に資することになるでありましょう。そしてそれぞれの成果を持ち寄った研究会、論文発表会の開催はもとより、テーマを定めた討論会、ワークショップ、講師による講演会、見学会、形式にとらわれない研究会、現地に出かけての調査・提案・労力提供等の諸活動、社会的に必要な提言・提案等、より幅広い活動が可能となります。そこではこの地域に山積する課題が、重要テーマとなるでありましょう。この分野でいくつかの着実な取り組みと成果が見られますが、そのような情報が多くの関係者に共有されているとはいえず、新たな場の提供は大きな役割を果たすでありましょう。また、都市計画の分野は学際的といわれ、異なる専門領域相互の情報交換が大きな意味を持つことになります。
さらに、学会会員であるとないとを問わず、新たな取り組みに向けたネットワークを形成して、開かれた活動を展開する必要がありましょう。これからの学会は産・官・学の枠組みにとらわれず、市民・住民にも参加できる場を提供し、共に情報交換・活動する方向を追究すべきでありましょう。まちづくりを担うNPO等との連携や協力も欠かせない状況となっております。
同時に、支部単独で活動するだけでなく、関連学会や協会とも連携して必要な活動を展開することが不可欠な要件となっています。支部内の地域単位でも多様な活動が望まれます。
以上のような、いくつかの理由のもとに、ここに活動理念と目標を持って、日本都市計画学会中国四国支部を設立するものであります。
2002年7月6日
update : 2022/05/25